不動産トラブル、どんな場合に弁護士に相談したらよいの?
2020.01.27
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
今回は不動産トラブルの際に、誰に相談したらよいかという話です。
不動産トラブルと言っても色々な場合がありますので、
まず誰に相談したらよいのかわからないという方も多いと思います。
また、弁護士などの不動産に関係する職業もたくさんありますので、
どの職業の人に相談するのがよいのかという問題もありますね。
それでは、以下のいくつかの場面において誰に相談するのが適当でしょうか。
①建物や土地そのものに問題がある場合
購入したマンションや借りた部屋が契約した内容と違う部分があったなど、
問題があった場合に誰に相談すべきでしょうか。
その問題の程度にもよりますが、まずは仲介した不動産屋さんに話をしてみて、
簡単に解決できないか検討されるのがよいのではないでしょうか。
特に部屋を借りている場合には、貸主との関係は今後も続くので、
すぐに事を構えるのではなく、穏便に解決できる方が良いと思います。
それでも難しそうな場合には、弁護士にぜひご相談下さい。
弁護士は、契約書などの資料を確認の上で、
そもそも法的な請求が可能なのかどうか、
適切なアドバイスを差し上げます。
また、マンション購入に関しては、
投資用なのに住宅ローンで購入してしまったなど他の問題もあります。
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②明け渡し、立ち退きの問題
家賃や駐車料金を支払わない悪質な借主を追い出したい、
または貸主から建物の老朽化を原因に立ち退きを要求される場合があります。
この場合に相手の言い分を鵜呑みにせず、法的な根拠があるのか、
立退料はどうなるのかなど、色々検討すべきことがあります。
また、ご自分で交渉されていても、
必ずしも問題が解決されるかわかりませんし、
安易に立ち退いてしまうと、
本来もらえるはずだった立退料がもらえなくなることもあり得るので、
まず早急に弁護士に相談すべき案件だと思います。
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③家賃や駐車料金の未払い
②と重複する部分はありますが、債権回収の場合、回収可能性が重要になります。
要するにお金が無い人からはどうやっても回収できないということです。
回収できないのに裁判費用をかけても、
手出し(赤字)が増えるだけになってしまいます。
その前に回収する手段があるのかないのか確認することは重要ですので、
こちらも一度弁護士にご相談下さい。
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④賃料の増額や減額
近隣相場と比較して貸している部屋の家賃が安いと感じる、
反対に借りている部屋の家賃が高いと感じるということがあります。
この場合に、賃料増額請求や減額請求という方法がありますが、
その請求する賃料がはどうやって決めるべきでしょうか?
言い値を相手が納得して支払う、減額に応じると言えば、
特に揉めることはないでしょうが、
やはり相場というものはあると思います。
そして適正な相場を知るためには、
不動産鑑定士さんに賃料額を鑑定してもらうのが正確です。
ただし、ある程度の費用がかかってしまいますので、
ひとまず不動産屋さんに近隣の賃料相場を聞いてみてもよいでしょう。
当然弁護士を通じて交渉することも可能です。
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⑤相続
土地・建物を誰に残すかなどの遺言の内容も遺留分との関係で、
色々検討すべきことはありますし、
遺言書が有効かどうかなど形式面のチェックも必要ですので、
司法書士さんや弁護士の専門家にまずはご相談下さい。
相続税や贈与税など税金までご心配であれば、
税理士さんにも相談しておく方が万全ですね。
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⑥境界線
たまに境界杭が無くなっていたりして、
隣地との境界線が曖昧になっていることがあります。
この場合に測量をして境界線が明確になれば解決する事例であれば、
測量士さんに測量のみ依頼することもあるでしょうし、
土地家屋調査士さんに依頼して筆界特定制度を利用するのも手だと思います。
ただ、境界問題だけではなく、所有権の問題も出てくることが多いので、
弁護士にご相談の上、まずはどこから解決していくのが適当なのか、
ひとまず確認するのも重要です。
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⑦時効
⑥の場合に境界は確定したものの、塀が越境していた場合などは、
その部分の時効取得の問題が出てきます。
ここで安易に当事者同士で交渉してしますと時効の「承認」になってしまい、
時効取得を主張できなくなる場合がありますのでご注意下さい。
やはり、直接の交渉前に弁護士にご相談の上、対応を慎重に検討されて下さい。
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⑧マンション内トラブル
マンションの騒音トラブル、共用部分の使い方、管理組合の問題など、
当事者同士で直接言い難いことは、
まずは管理している不動産屋さんを通じて話をするのが穏便に解決する方法です。
ただ、不動産屋さんも立場上一方の味方をするわけにもいかないので、
結局何も問題が解決しないということもあり得ます。
その場合には、直接交渉するか弁護士など第三者に依頼するしかないでしょう。
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⑨水漏れ
上の階から水漏れで家財道具などが駄目になった場合、
⑧の場合と同じで当事者同士では話しづらいということがあります。
この場合管理している不動産会社さんを通したり、
当事者や管理組合のかけている保険会社に相談したりすることも考えられます。
ただ、水漏れの原因や金額に争いがある場合には、弁護士にご相談下さい。
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⑩原状回復
賃貸していたマンションや店舗から退去する際に、
原状回復の問題になります。
基本的には契約書どおりの請求になるはずですが、
時には、家主から法外な金額を請求されたり、
逆に借主が原状回復費用を払ってくれないということがあり得ます。
原状回復とは何かということを理解して、
適正な原状回復費用を請求もしくは支払いましょう。
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不動産トラブルと言っても色々な場合があり、
その時にまず誰に相談すべきか悩みますよね。
悩んだ時に上記のとおりだいたいの場合が弁護士に相談頂ければ問題ないですし、
少なくとも事案の整理や的確な対処方法などはアドバイスできたり、
他の士業を紹介できたりしますので、悩むよりもぜひお気軽にご相談下さい。