立退料の中身とは? どのようなものを請求できるのか
2019.06.11
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
前回立ち退きの話をしましたので、今回は立退料について簡単にお話しします。
立退料は借地借家法第28条の賃貸借契約の更新拒絶や解約申入の正当事由を
補完するものとして機能しますが、その中身はおおむね以下のとおりです。
①移転費用
→引っ越し費用や移転先建物の契約のかかる費用など、
借主が立ち退きに伴い他の建物に移転するために必要な費用です。
かりに店舗としてお店を営業しているのであれば、
什器備品など設備を新しく購入したり、
移転先店舗の内装にかかる費用を請求したりもします。
②逸失利益の補償(本来得られるはずの利益)
→借主が引っ越しことにより、
本来得られるはずの利益が得られなくなったとして請求するものです。
住居であれば相場より安く借りていた場合の家賃差額だったり、
店舗であれば営業補償などがあり得ます。
③借家権の補償
→立ち退くということは、
その建物を借りるという権利を放棄することになりますので、
その権利を補償してもらおうというものです。
これは上記の逸失利益に還元されることもあります。
その他に裁判によらずに当事者同士の話し合いで立ち退く場合には、
立退料は正当事由の補完ではなく事件の解決金という意味を持ち、
解決金という名目であれば、その内容は当事者次第ですので、
上記以外にも迷惑料や慰謝料などを含んだ金額となる場合があります。