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陽なた法律事務所の弁護士が綴る、日常や法に関する豆知識ブログです。

家賃が払えない?休業補償・家賃の支払猶予と減額

2020.04.21

執筆者 陽なた法律事務所 弁護士  松井竜介

 

こんにちは。弁護士の松井です。

 

今回は、コロナウイルスの影響で休業せざるを得なくなり、

家賃が払えず家から追い出されるのではないかとご心配の方もいるかと思います。

そこで、今回は家賃が支払えない場合にどうしたら良いのか、

どのような選択肢があるのか説明したいと思います。

 

①家賃を払わない場合にどうなるのか?

まず家賃を払わなかった場合にその後どうなっていくのかについて、

説明していきます。

かりに家賃1か月分を払い忘れた場合、

家賃を支払わない状態を債務不履行といい、契約違反なわけですから、

契約を解除されて出ていかないといけないような気がします。

しかし、マンションやテナントなどの継続的な賃貸借契約は、

信頼関係が破壊されていないと契約が解除できないというのが一般的な考えです。

そして、家賃1か月分滞納したという事実だけでは、

たまたま忘れていただけということもあり得ますし、

通常信頼関係が破壊されているとまでは言えず、契約解除はできません。

ただし、これまでも度々滞納状態が続いていた場合など、

信頼関係を破壊するような他の事情があれば、

家賃1か月の滞納でも契約解除となる可能性もありますので、

十分ご注意下さい。

そして、契約が解除されてしまうと、

マンションやテナントを使用する権限がないことになるので、

不法占拠者となり、出ていかないといけなくなります。

 

②補償される範囲は?

今回のコロナウイルスの影響で客足が遠のき、

売り上げが激減した企業も多いと思います。

そして飲食店など休業要請を受けたところは閉めざるを得ないでしょう。

福岡県の場合、休業要請を受けた飲食店などは、

上限50万円として家賃の80%が支援(補償)されるようです。

現時点ではあくまで休業要請を受けた飲食店などが対象となりますので、

それ以外の業種では休業せざるを得なくても、

家賃の補償はなく全額自己負担ということになってしまいます。

参照:福岡市ホームページ

緊急事態宣言に伴う事業継続に向けた店舗への家賃支援

(新型コロナウイルス感染症対策)

 

③そのほかの方法

上記のとおり、家賃の補償されない場合も多いと思いますが、

その場合にはやはり家賃を期限までに全額払わないといけないのでしょうか?

悩む前に一度家主さんと家賃の支払猶予や減額の交渉をおすすめします。

 

家賃減額の内容については↓のブログに詳しく記載していますので、

内容をご確認下さい。

過去のブログ:家賃の増額もしくは減額ってできるの?

 

現在では、コロナウイルスの影響を踏まえて、

国土交通省が各不動産業界団体に対して、

飲食店等のテナントの賃料の支払いについて、

柔軟な措置の実施を検討するよう要請しており、

家賃の支払猶予をお願いしたり、減額の交渉がしやすい状況にあると思います。

法律上も、家賃減額が認められるための要件

(借地借家法第32条第1項の「経済事情の変動」)

に該当するかもしれませんね。

参照:国土交通省ホームページ

 

家主さんの方は家賃の支払猶予や減額は困るでしょうが、

家賃が払われなくなって滞納状態が続いたり、空室となってしまえば、

家賃収入は全くなくなってしまいますが、

すぐに新しい借主が見つかる状況でもないでしょう。

分割払いを認めたり、減額時期を区切るなどの柔軟な対応も含めて、

家賃の支払猶予や減額に応じるのも経済的なメリットはあると思います。

 

何もせずに家賃滞納となれば、契約解除となる可能性がありますので、

ぜひできることからやっていきましょう!

 

陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介

 

 

 

 

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