ペット禁止の賃貸物件で動物飼育が発覚したら?オーナーが契約解除できるケースとは
2026.06.15
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
今回は架空の相談事例をもとに、
賃貸物件におけるペット飼育禁止特約違反と、
建物所有者(オーナー)が賃借人との契約を解除できる場合について、
裁判例を踏まえて解説します。

【相談内容】
建物の所有者(オーナー)Aさんからのご相談。
Aさんは、所有している戸建住宅をBさんに賃貸しています。
賃貸借契約書には、
「賃借人は、貸主の承諾なく犬、猫その他の動物を飼育してはならない」
という条項を設けており、契約締結時にもBさんへ説明をしていました。

ところが、入居後しばらくして、近隣住民から、
「庭で動物を飼っているようだ」「鳴き声や臭いが気になる」
という相談がAさんのもとに入りました。
Aさんが確認したところ、
Bさんは契約で禁止されている動物を室内で飼育していました。
AさんはBさんに対し、
「契約で禁止されていますので、飼育をやめてください」
と伝えましたが、Bさんは、
「近所に迷惑はかけていない」「家族同然なので手放せない」
として、その後も飼育を続けています。
Aさんとしては、このような契約違反を続けるBさんとの賃貸借契約を解除し、
建物を明け渡してもらうことはできるのでしょうか。

【弁護士からの回答】
今回のようなケースでは、契約違反があったとしても、
直ちに契約解除が認められるとは限りません。
賃貸借契約では、当事者間の「信頼関係」が重視されており、
解除が認められるためには、
その違反によって信頼関係が破壊されたといえるかが問題になります。
この点について参考になる裁判例があります。
東京地方裁判所平成22年2月24日判決では、
建物賃貸借契約において「動物飼育禁止」の特約があったにもかかわらず、
借主がフェネックギツネを飼育していた事案について判断されています。

この事案では、貸主が借主に対して飼育をやめるよう求めたにもかかわらず、
借主は飼育を継続しました。
借主側は「犬や猫とは違う」「大きな問題はない」と主張しましたが、
裁判所は、問題となるのは動物の種類や迷惑の程度だけではなく、
契約で禁止されている行為を継続したこと自体であると判断しました。
また、裁判所は、
・契約書に動物飼育禁止が明記されていたこと
・借主も禁止を認識していたこと
・貸主から停止を求められた後も飼育を続けたこと
・貸主の要望より自己の都合を優先したこと
などを考慮し、当事者間の信頼関係は破壊されているとして、
貸主による解除を有効としました。
今回のAさんのケースでも、
・契約書に禁止条項がある
・契約時に説明している
・違反を指摘した後も改善しない
という事情があれば、
同様に契約解除や明渡請求が認められる可能性があります。
もっとも、解除を進める場合には、後日の紛争に備えて、
・違反内容の確認
・是正要求の通知
・借主とのやり取りの記録
を残しておくことが重要です。

【今回のポイント】
・ペット禁止特約違反は、単なる違反でなく、「信頼関係が破壊されたか」が重要。
・契約書の記載や契約時の説明が、オーナー側にとって重要な証拠になります。
・貸主から改善を求めた後も違反を続ける場合、解除が認められやすくなります。
・動物の種類や大きさだけではなく、契約違反を続ける借主の対応も判断材料。
個別具体的な事情により結論も異なりますので、
より詳細なご相談をおすすめいたします。
※なお、上記事例はあくまで架空のものであり、
実在の人物、団体とは一切関係ありません。
より詳細なご相談をおすすめいたします
【参考記事】











