相続で不動産取得?不動産を持つリスクも考えよう。
2021.02.26
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
今回は不動産を持つ場合のリスクの話です。
不動産を持っていない人からすれば、
不動産を持っている人を羨ましいと思われるかもしれません。
ただし、それはその不動産がメリットのある有用なものである場合に限ります。
1 不動産を持つメリット
まず不動産を持つことによるメリットとしては、
①収益があがる。
収益にも色々ありますが、
家賃、駐車料金、地代、農地の場合には農作物などがあり得ます。
近年では不労所得を得たいという人が増えたのか、
不動産投資の話をよく耳にします。
不動産投資に関しては以下の関連記事もご確認下さい。
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②資産として無くなる可能性が(ほとんど)ない。
建物は老朽化により価値が減少していくことはありますし、
建物が火事で焼失する場合や土地でも地震や水害により消失することなど、
例外的な場合もありますが、それ以外には資産として残り続けるものです。
③融資の際の担保になる。
銀行などから融資を受ける際に不動産に抵当権を設定することで、
最悪の場合でも銀行は融資したお金を回収できますので、
融資のハードルが下がります。
2 不動産を持つデメリット
逆にデメリット(リスク)としては、
①固定資産税がかかる。
特に収益があがらなくても、
ただ所有しているだけで毎年税金がかかってしまいます。
②管理する必要がある。
建物であれば維持管理、土地であれば草木の剪定など、
色々管理する必要があり費用もかかります。
管理できずそのまま放置してしまい、何らかの事故やトラブルが発生すると、
不動産の所有者として責任を問われる可能性がありますので注意が必要です。
③処分が容易ではない。
不動産の登記名義を変更しないといけないので、
処分するにはそもそも手間がかかりますが、
それ以前に処分の相手を見つけることが必要になってきます。
都市部であればそれほど問題はないかもしれませんが、
地方の不動産でそもそも寄付や売却の相手が見つからないような場合には、
容易に処分することができず、一方的に放棄することもできません。
市や町などの地方公共団体も管理に費用がかかるなどの理由で、
不動産の寄付は受け付けてくれないと思って下さい。
3 不動産を持つ前に考えること
上記のメリットとデメリットを比較して、
メリットの方が大きければ特に問題はないですが、
デメリットが大きい場合には、
不動産を取得しないという選択肢をとる方が賢明です。
特に相続でよく知らない田舎の不動産を取得してしまうと、
様子を見に行くだけでも負担となり管理ができず、
処分も容易ではないことも多々ありますので、
事故が発生しないように神様に祈りながら、
固定資産税だけを延々と支払い続けるということにもなりかねません。
相続の場合には3か月間の熟慮期間がありますので、
その間に不動産のメリットとデメリットをきちんとするように努めて、
デメリットが大きい場合には相続放棄をおすすめします。
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