家賃や駐車料金の回収について
2020.11.30
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
今回は家賃や駐車料金の回収についてお話したいと思います。
1 裁判に勝っても
不動産オーナーの中には、
家賃や駐車場収入で生活費を賄っている人もいると思いますので、
家賃を滞納されると死活問題となってしまいます。
なので、一刻も早く一円でも多く回収したいですよね。
たまたま振込が遅くなり一時的に滞納していたというだけで、
すぐに支払ってくれるのであれば問題ないのですが、
急に連絡が取れなくなったり、破産したりされると回収が困難になります。
連絡がとれないだけであれば、住民票をたどるなどして居所をつきとめて、
裁判で勝訴できる可能性はあります。
しかし、かりに言い分どおりの判決が出たとしても実際に回収できなければ、
裁判費用は丸々費用倒れということにもなりかねないので、お気を付け下さい。
2 回収が困難な場合とは
家賃などの回収で一番困るのは相手にお金がない場合です。
相手に現金がないだけで、
きちんと仕事をしていれば給料の差押、
預金があれば、預金口座の差押、
不動産などの資産を持っている場合には、
不動産を差し押さえて売却することで回収は可能かもしれません。
しかし、相手が仕事もしておらず、
何も資産を持っていない場合には、
どうすることもできません。
将来資産ができるまで待つしかありませんし、
破産されてしまうとその待つことすらできなくなります。
3 財産調査や費用
相手に財産があるかどうか調査するために、
例えば不動産を持っているか相手の住所地の不動産を調べたり、
預金口座がないか銀行に照会をすることがあります。
ただし、相手に資産がないか調べようとするだけでもお金がかかります。
不動産を調べるために不動産登記をとろうとすれば、
実費だけでも1通あたり数百円はかかり、
当然たくさん調べようとすればするほど費用がかさみます。
裁判をしたり、預金を差し押さえたりしようとしても、
裁判所に納める印紙や切手なので実費はかかりますが、
相手から回収できなければ、
結局その費用は自己負担ということになってしまいます。
4 対策
このように家賃などの回収はなかなか大変だということをご理解頂いて、
より確実な回収のためにも、
最初の賃貸借契約締結の時点から、
資力が十分にある(お金がありそうな)連帯保証人をとったり、
家賃保証会社をつけるなどの対策をとって下さい。
また、定期的に可能であれば、
勤務先の変更や保証人の死亡など契約時に申告された情報と、
現時点での情報に変更点がないか確認するのも良いでしょう。