投資用マンションなのに住宅ローンを組んでしまった?
2020.09.29
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
こんにちは。弁護士の松井です。
今回は投資用マンショントラブルの一例をお話したいと思います。
1 ご相談内容
不動産トラブルのご相談で、最近特に多いなと感じるものが、
投資用マンションを購入したものの、
その支払いは住宅ローンを組んだというものです。
住宅ローンは実際に住むための住宅を購入する目的で行われる借り入れであり、
そのために金利などが優遇されていますので、
投資用マンションのために組むのは問題があります。
借り入れ後しばらくして、
住宅ローンを組んだ銀行に実際には住んでいないのが発覚し、
借入金を一括で返済するよう求められたという話もあるようです。
2 何が問題なのか
何が問題なのかというと、
まず先ほど述べたとおり、住宅ローンは実際に住むために組むわけですから、
借り入れの目的に反することになり、契約違反となる可能性があります。
この場合に月々分割払いの期限の利益を喪失ということになれば、
一括払いをしないといけなくなります。
また、本来はもっと高い金利なのに、住むために借りると嘘をつくことで、
安い金利で借り入れることになりますので、
その金利分の利益を騙し取ったともいえます。
他のローンに比べて、住宅ローンの方が銀行の審査は緩い場合があり、
住宅ローンでなければ審査に通らないような場合には、
住宅ローンと嘘をついて借り入れを成功させているので、
借入金全額を騙し取ったといわれる可能性もあります。
このように騙し取ったということになれば詐欺罪となり、
刑事事件となってしまいますので重々お気をつけ下さい。
3 借りる方に悪気が無い場合もある
住宅ローンと嘘をつくのは場合によっては詐欺罪に該当してしまうのですが、
本人にはそれほど悪気があるわけではないこともあるようです。
それは、不動産業者が、将来の年金がわりや節税対策などとうまい話をして、
少しでも収支を良くするために、
住宅ローンを組ませようと持ち掛けてくることがあるからです。
これまで不動産投資をしたことが無い人からすれば、
そんなこともあるのかぐらいの軽い気持ちで住宅ローンを組んでしまい、
しばらくして銀行から連絡があってから、
はじめて違法なことをしていたと気づく人もいます。
4 最後に
不動産業者に騙されたとはいえ、
最終的に住宅ローンを組んでしまったのであれば、
銀行と話し合いをするほかなく、
結局不動産を手放して、一部借金が残ることになったり、
高い金利に変更になることもあり、やはり損をすることになります。
このようにならないためにも、業者の言うことを鵜呑みにしないように、
気をつけないといけないですね。
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