家主が起こした立退の裁判に対処して、最終的に建物を買い取って解決できた事例
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
ご相談内容
【建物を借りて、店舗として仕事をしている経営者の方からのご相談】
本件建物のオーナーから契約更新を拒絶すると言われて、
立ち退くように要求されて困っている。
20年以上店舗として使ってきて今更よそで営業できない。
立ち退きを拒否していたら、裁判を起こされてしまった。
立ち退きたくないので何とかならないか。
解決までの道筋
①契約内容の確認
今回の契約が定期建物賃貸借契約であれば、
契約期間満了で立ち退かなければならなくなるため、
相談時に契約書を見て、普通建物賃貸借契約であることを確認した。
②更新拒絶の正当事由
今回が普通建物賃貸借契約であり、借地借家法が適用されることを確認し、
次に同法第28条の更新拒絶の正当事由があるかを確認した。
訴状によるとオーナー側の主張する正当事由は、
本件建物を自分で使用するという一点だけに絞られていた。
そのため、相談者が立ち退きをせずに済む可能性があると判断し、
裁判を受任して代理人として活動することにした。
③裁判での反論
こちらも本件建物を使用をする必要性を中心に反論し、
1)営業許可が必要な業種なので、別の店舗では許可がとれるか不明。
2)本件建物で20年以上店舗として使ってきてリピーターがかなりいるので、
立ち退きになるとかなりの経済的損失を受ける。
3)オーナー側は自分で使うと主張しているが、実際には近くに住んでおり、
店舗を住居用に改装してまで、本件建物を使う必要性に乏しい。
というような主張を行った。
④立退料
裁判において、オーナー側が正当事由を補完する事情として、
立退料100万円程度を支払うと主張してきた。
これに対して、相談者が立ち退きによりリピーターを失えば、
少なくとも数か月間は売上減が続くことになり、
相談者の経済的損失は数千万円にのぼるため、
立退料は100万円では低額すぎると主張した。
⑤和解
結局主張は平行線のままであったが、
オーナー側に本件建物を売却する意思があることが判明したため、
裁判所を通じて和解の話し合いをしたところ、
相談者側で本件建物を購入するという内容で和解が成立した。
解決のポイント
オーナー側に対して、
正当事由のうち、建物使用の必要性について的確に反論したことで、
今回は立ち退きが簡単に認められる事案ではないと思わせ、
かりに立ち退きが認められても立退料が高額になると主張することで、
相談者に売却した方が経済的メリットがあると思わせることができ、
相談者が本件建物を買い取る方向での和解につなげることができた。
お客様の声
オーナーから立ち退きを請求された時には、
仕事をやめないといけないかもしれないと不安になりましたが、
弁護士さんから、立ち退かないで済む可能性があると言われて、
気持ちが楽になりました。
裁判でも私の言いたいことを的確に表現してくれて安心できました。
建物を買い取るのにお金はかかりましたが、
これからも仕事ができるので良かったです。