駐車場の明け渡しにおいて、行方不明者を相手に車の撤去に成功した事例
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
ご相談内容
駐車場用地の所有者からのご相談。
駐車場を貸しているが、駐車料金を5年以上払わない人がいて、
契約書に記載してある電話番号に連絡しても全く連絡が取れないため困っている。
車も動いた形跡がなく、しばらくそのまま放置されているようなので、
駐車場を他の人に貸すこともできず迷惑している。
駐車場全体を舗装しようとも思っているので、早く駐車場を明け渡して欲しい。
解決までの道筋
①ある年の2月頃:
相談時に契約書など関係書類を確認したところ、
車両の所有者がわかる車検証の写しはなく、
駐車場契約者と放置車両の所有者が一致しているか不明であった。
そのため、まずは相手方を特定するために、
弁護士会を通じて弁護士法第23条の2に基づく照会を行い、
契約者と車両の所有者が一致していることを確認。
②4月頃:
借主の現住所を調べるために住民票をとり、
内容証明郵便で請求書兼駐車場の解約通知書を送付。
③6月頃:
しばらく借主からの連絡を待っていたが、借主から全く連絡がないため、
やむなく裁判をすることとなり、裁判所へ訴状提出。
④7月頃:
借主へ訴状が届かないため、現住所の調査を行い、公示送達申立。
⑤9月頃:
勝訴判決が出て確定。
⑥10月頃:
あいかわらず借主から連絡がなく任意の明渡は困難と判断し強制執行の手続開始。
⑦11月頃:
軽自動車のため動産執行申立を行い、車両の撤去完了。
*上記日付はあくまでわかりやすく目安として記載したもので、
実際の事件の日付とは異なります。
解決のポイント
今回は相手方と全く連絡が取れなかったため、
裁判に必要な資料取得や現地調査などに時間がかかった。
また、結局滞納していた駐車料金や裁判費用なども回収できないまま。
未回収分の強制執行も検討しましたものの、
さらに時間と費用がかかることと第一の目的であった駐車場の明渡自体は、
無事実現したので、事件として終了することとなった。
お客様の声
相手と連絡すら取れずに途方に暮れていましたが、
最終的に車が撤去できて良かったです。
滞納されていた駐車料金を回収できなかったのはとても悔しいですが、
弁護士さんと話をして、これ以上損をしないために、
あえて何もしないという選択をしました。
今では駐車場全体を無事舗装でき、
他の人に貸して駐車料金も入ってくるようになりましたので、
弁護士さんには本当に感謝しています。