数百万円の原状回復費用請求に対処して、半額以下の金額で解決した事例
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
ご相談内容
【最近借りていた建物から退去した方からのご相談】
先日借りていた建物から退去したのですが、
建物所有者から原状回復費用として数百万円請求されています。
もちろん金額も納得いかないですし、
そんな金額とても支払えないので、しばらく放置していたら、
裁判所から訴状が来てびっくりしています。
もともと借りた時から部屋に汚れやキズもありましたし、
言いたいことはたくさんありますが、
建物所有者の言い分どおり支払わないといけないのでしょうか?
解決までの道筋
賃貸借契約書と建物所有者側の主張する原状回復費用の中身(見積書)を確認し、
入居期間が10年近くと長期になっており、
自然損耗や経年劣化している部分が大きいと思われたものの、
なぜか部屋全体のクロス交換費用を請求されていたことや
自然損耗等の部分を賃借人(相談者)に負担させるという特約もないこと、
そもそも入居時の写真がなかったため、
入居時と退去時の室内の状況が比較できないことがわかった。
そこで、裁判での反論として、
①原状回復費用には自然損耗や経年劣化部分が含まれており、
これは本来建物所有者側の負担となるはずであること、
②原状回復費用のうち、破損や汚損している部分についてのものは、
入居時から破損等をしている状態だったこと
を主張して、証拠として、
国土交通省作成の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を提出。
不利な点としては、相談者がこっそり犬を飼っていたという事実があった。
裁判が進み、和解の話し合いがもたれた際に、
相談者に犬を飼っていたという事実があり、
証拠として建物に犬がキズつけたような痕の写真も出てきていたため、
原状回復費用を全く負担しないというわけにもいかず、
一部の数十万円を支払うということで和解がまとまった。
解決のポイント
建物所有者側が自然損耗や経年劣化部分もまとめて請求していたので、
この部分は減額される可能性が高い事案だった。
ただ、それ以外の部分で犬を飼っていたという事実が、
不利に扱われる可能性があったため、
一部支払って和解という解決を選択した。
お客様の声
建物所有者から法外な金額を請求され、
精神的に参ってしまいましたが、
弁護士さんが一緒に戦ってくれて心強かったです。
犬を飼っていたことは事実なので、
一部は支払わないといけないと覚悟していましたが、
結局請求額の半分以下になったので結果にも満足しています。