約100万円の原状回復費用請求に対して、20万円で解決した事例
執筆者 陽なた法律事務所 弁護士 松井竜介
ご相談内容
【マンションを借りていたAさんからのご相談】
とあるマンション(家賃12万円、3LDK)を昨年退去したのですが、
家主のBさんから原状回復費用として、総額約100万円を請求されました。
あまりに高額で驚きましたし、正直お金もないので支払いたくないです。
Bさんの言うとおりに、100万円を支払わないといけないのでしょうか?
解決までの道筋
➀相談時
AさんがBさんから、原状回復費用の概略がわかる明細書を受け取っていたため、
相談時にその内容を検討した。
を検討時に活用して、請求されている原状回復費用のうち、
少なくともクロス貼替費用やクリーニング代については、
減額交渉が可能という結論になった。
相談時に依頼を受けて代理人として交渉することもあり得たが、
その弁護士費用との兼ね合いから、
とりあえず、Aさん本人に交渉してもらうことにした。
②Bさんの訴訟提起
AさんとBさんでしばらく交渉していたものの、
結局金額で折り合いがつかず、Bさんが裁判を起こした。
訴状によれば、
Aさんの故意・過失による棄損や、通常の使用を超える損耗として、
約100万円の原状回復費用がかかるということであった。
③反論
Aさんが原状回復費用の見積書や写真を提出していたため、
その内容を確認して、
自然損耗や経年劣化部分は、本来賃貸人であるBさんの負担(※)であり、
Bさんの主張する原状回復費用の大部分が、
自然損耗や経年劣化の範囲内であると反論した。
解決のポイント
➀賃貸人側は、故意・過失による棄損や、
通常の使用を超える損耗のみを請求していると主張することがあるが、
実際には、自然損耗や経年劣化部分も含めて請求してくることがあるので、
原状回復費用の項目は必ず確認しないといけない。
②そして、原状回復費用の項目だけ見てもよくわからないことがあるので、
実際の工事の写真と比較することで、
自然損耗や経年劣化部分以外の工事をしているかどうか判断できる場合があり、
もし、おかしな点があれば、逐一指摘していくことが重要だと感じた。